期間工、入社後の流れについて

期間工小噺

期間工は基本的に経験不問で募集されていますが、そうは言っても「工業系の心得ゼロ」「工場勤務の経験がない」「学生時代から運動を全くしてこなかった」など、人それぞれに様々な不安があると思います。

だが安心して欲しい。

とにかく面接さえ受かってしまえばこちらのもので、各社責任持って「研修センター」なる練習ステージを用意してくれている。この研修センター、呼び方は各社違うだろうが、基本ここでは現場のイロハを一通り教えてくれて、ビスの打ち方からライン作業のコツ、果ては車の機構まで身に着けることが出来るのだ…!!

例によって当時の日記帳が出てきたので簡単にだが日産車体の入社後の流れを書いてみようと思う。

日産車体の場合

  • day1   入寮日
    予め指定された寮への地図が送られてくるので、各自荷物を持ってそこへ引っ越す。ゾロゾロとおのぼりさん達が地獄へネギを背負ってやってくる様は圧巻だ。ちなみにこの日は月曜日。普通、入寮は週末に済ませ翌週初めからキリよく出社!という形にしたいと思うのだが、なぜかこの会社は週の真ん中でもお構い無しであったように見える。繁忙期ゆえの事態なのかな?ともかく、入寮手続きを済ませ部屋へと入ると基本もうやる事はないためあとは自由時間。この日の食事は各自で済ませなければならないため、ついでに周辺散策もしておきたい。
  • day2 健康診断と各種手続き
    初出勤日は工場の隣にある研修センター内一角にて健康診断と軽い体力テスト。健康診断では血液検査や尿検査、それから心電図を撮ったり視力を測ったり色盲検査をしたりと一般的なものを行い、体力テストでは握力や背筋を測る。それと平行して貸与される作業服や安全靴のサイズを測ったり証明写真的なものを撮ったりと忙しい。終わると会議室のような場所へと移り、雇用保険や期間契約書(これは契約更新のたびに毎回書く)、それから給料の振込先など、様々な書類へと記入していく。印鑑必須である。全員分の検査が済むと、今度は社内の施設案内や設備の使い方(食堂の料金支払いシステムなど)を説明し、簡単な企業説明のビデオなどを見たらこの日は解散。日産車体はプリペイドカードで食堂の代金を払う仕組みなのだが、この日から使うことが出来るようになるため寮で夕食を取る事も可能。
  • day3~6 研修開始ぃぃぃぃ!!!
    施設内にある研修センターにて研修を行う。が、その前に前日の健康診断で重度の問題があった人はサヨウナラとなる事がある(再検査あり)。軽度の問題であれば様子見で採用され、次回更新がないという噂もあるが…??本採用組はこの後配属先を伝えられ、各自その職場に合った研修を受ける事となる。やる事はそこまで変わらないが、配属場所によって研修期間が異なったりするようだ。

 

ちなみにこの「配属先」であるが、どこへ行くかによって天国地獄が別れたりするほど差があったりする。仕事内容として「技術」を求められる場所であったり「体力勝負」であったりするのだ。当然、技術を求められる方が体力的には楽だったりするわけで……そこらへんはどうやら「経験」「体力テストの結果」「若さ」などを考慮しているといわれているが、結局最後は「運」がモノを言うと思われる。

なぜなら、この日僕らと同期入社した人の中で全く同じような経歴、年齢の人がいたのだが(さすがに健康診断や体力テストの結果までは知らんが)、一人は比較的楽といわれている塗装にまわされ、一人は地獄と言われているトリム(艤装)に回されていた。その差はわからない。体力テストの差だったとして、ここまで天国地獄が別れるものだろうか?もしそうであれば、体力テストはギリギリまで手を抜く事が推奨されるが……?

参考までに、同期入社で同じ寮だった人達の簡単なプロフィールと配属先。

①九州から来た兄ちゃん(30)
*期間工経験多数あり        ・・・Ⅱ地区塗装へ
②オタク風の韓国籍の兄ちゃん(43)
*期間工経験多数あり        ・・・Ⅱ地区運搬へ
③胸毛の濃い小林さん(27)
*期間工は初めてらしい     ・・・Ⅰ地区組み立て(シャーシ)へ
④キングカズそっくり西尾さん(不明)
*期間工経験あり       ・・・Ⅱ地区組み立て(シャーシ)へ
⑤ギッチョの井守さん(30)
*期間工経験多数あり      ・・・Ⅱ地区組み立て(トリム)へ
⑥友人の魚くん(23)
*期間工というより工場系は初  ・・・Ⅰ地区組み立て(シャーシ)へ
⑦俺(23)
*期間工経験あり         ・・・Ⅱ地区組み立て(内装)へ

これを見ただけでは何ともいえないが、やはり若さと経験で振り分けられてる感はある??

配属部署によって疲労度に雲泥の差があると言われているが、基本的に難易度としては

 (天国) 検査>運搬>塗装>溶接>鍛造>*組み立て>プレス (地獄)

などと言われている。が、これらは単に作業場所を大まかに表しているだけで、例えば組み立てと言ってもその中でさらにエンジン、ミッション、シャーシ、内装、車軸、インテリア…etcと驚くほどに細分化されている。加えてその組み立て班のミッション部署内に措いても楽な工程と辛い工程という差が出てしまうのだ。こうなると最早自分の請け負う工程が楽かどうかは運である。

と言ったものの、やはり配属部署によっての差は小さくない。噂を聞く限り、プレスと組み立て(トリム)は相当キツイらしく、フレーム(骨組み)に直接関わる作業ほど厳しい姿勢で力を必要とする単純作業の繰り返しでキツイ傾向があるようだ。

事実、組み立て(シャーシ)に行った友人も死にそうになってて、一度その作業を見たが組み立て(内装)の自分よりも明らかにキツそうだったw自分の工程も相当ツライと思ってただけに驚いた。

なお、最もキツイと噂されるトリムに回された人は数週間後に疲弊しきった様子で逃げ去って行きましたとな(´;ω;`) この人は今まで数社を渡り歩いてきた期間工のベテラン(自称)と聞いてただけにその過酷さが窺えますね……

研修内容について

研修センターでの作業は部署によって異なると書いたが、具体的に言うとやる事は途中までは皆同じで、研修期間だけが異なっていた。

日産車体湘南工場には主にフレーム系の組み立て工場であるⅠ地区と、ボディその他の仕上げをするⅡ地区に別れていて、比較的単純作業を求められるⅠ地区の方が研修期間は短い。

どれぐらい短いかというと、たったの二日で研修を終え実践へと狩り出されていったぐらいである。

そして残されたⅡ地区の人間はというと、その後実車を触りながら担当箇所の構造を学ぶ「実車訓練」というものに移り、そこからさらに二日研修センターで過ごす。

参考までに、Ⅱ地区組み立て(内装)部署に配属となった僕の研修内容を書き込んでみよう。

全日程共通:朝礼、ランニング(超だるい)。休憩時間は実際の本業務と同等。昼休憩45分、他2回の小休止。

研修1日目:ひたすらビス打ち。インパクトの使い方を覚える
安全教育。ヒヤリハット(冷やり、ハッと)という標語を植えつけられる

研修2日目:ラインテスト。研修センター内に実際の工場と同じようなラインがあって、その上で簡単な組み立てやビス打ちをラインの上で行いラインの速さや流れを身体で覚える。Ⅰ地区の人間はこれを終えると研修終了となる。

研修3日目:実車訓練。実際に自分が配属される部署で行う作業と似たような工程を行い、これからやる事への理解を深める。ライン上での作業でないため、かなり暇で仕事を舐めることになるが安心してほしい。すぐに現実に戻れるから。

研修4日目:前日に引き続き実車訓練。&簡単な卒業テストのようなものがある。これに受からないと追試があるのか、はたまた首、部署変えがあるのかはわからないが、無事に終わればⅡ地区の人間もこの日で研修終了。

研修センターではラインに追われる事もなく、体力的にツライ事もないため休憩時間や食事中は同期組で絡む機会も増えると思う。逆に言うとここでしかほとんど同期とは仲良くなる機会がない。仲良くなる必要があるかと言われると、う~ん(笑)って感じだけど、期間工に流れ着く人材というのは基本一癖も二癖もある人ばかりなので話してみると面白い事が多い。気分は自動車免許合宿訓練みたいな?(行ったことないけどw)

教官にあたる研修センターの方々も、高齢で現場を退いた元ライン責任者みたいな人ばかりで経験豊富なお話を聞かせてくれて面白かった。皆いい人ばかりだ。

その中で研修リーダーというお爺さんに聞いたお話では、どうも配属先は履歴書の段階で決まっているのだとか。つまり、体力テストは一切関係ないという事なのだが真相は果たして…!?


以上、まとまりの無い記事になってしまいましたが、これらが未経験で期間工に挑もうと思っている人の助けになれば幸いです(‘A`)b!!

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